第20話 幽霊マンション

著:カイト ◆MbiMEa9Ics  時刻:22:34:20

76 :カイト ◆MbiMEa9Ics :2010/08/20(金) 22:34:20 ID:r0WQmdB7O
幽霊マンション


知り合いの住む町には、山もあり海もある
山と言っても小さなもので、山の裾をなぞるようにバイパスが通っている
そのバイパスを見渡すように、ある大型マンションが建っている
そのマンションの建設中の話
彼は建設に関わる業者の一人として、その場にいた
元々、噂のある修道院を壊し、跡地をマンションにしたらしい
噂とは修道院にいた尼さんが井戸に身を投げたという話だった
その尼さんが出るらしい
所詮噂だと、彼は気にしなかったそうだ
けれど、仕事中に些細な事が続いた

ゲートがいくつかあったが、最初に気付いたのは第四ゲート近くでだった
ぽんぽんと腰辺りを叩かれる
子犬でもいるのかと、振り返って見ても誰もいない
首を傾げまた視線を逸らすと、確かに誰かが今度は足を叩く
しかしやはり誰もいない
気味の悪さに青ざめた時、わぁっと歓声を上げて逃げて行く子供の声と足音が聞こえたらしい
彼も悲鳴を上げながら、事務所へと走って逃げたそうだ
第四ゲート近くには子供がいる、と噂が立った
そんな体験をしつつも仕事をしていた彼も、第五ゲートには近づけなかったそうだ
危険なものがいると、何人もそこには近寄らないでいたらしい

マンションは多少不便な場所に建っているが、景観は抜群にいい
けれど住人の入れ替えは頻繁にある
そして今も噂と肝試しをする連中は多い