第35話 伯母さんのこと

著:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg  時刻:23:42:19

120 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/20(金) 23:42:19 ID:NzwSnF7x0
4コ卵◆hcYOhjUtjg 様 代理投稿

【伯母さんのこと】 1/2

心霊?ちょっといい話系です。

私の伯母は、着付けの先生をやっていて、海外だろうとどこだろうと常に着物姿で
びしっとしていて、素敵な女性でした。
バツ2の出戻りで、子供がいなかったため、末っ子の私は随分可愛がってもらったものです。

その伯母にはちょっとした特技がありました。
人が失くなるのが夢で分かるというのです。

既に失くなった人が大勢出て来て宴会を始めるという夢を見ると、必ず身内や知人の訃報が
届くのだとか。
子供の頃は半信半疑でしたが、大きくなって実際に何度か、
『今日、例の夢見ちゃったわ…』
と言った後に訃報を告げる電話がある、というシーンを目にして信じるようになりました。

その伯母が、長く患っていた持病で失くなりました。
自宅で吐血して救急車で運ばれてそれきりでした。

着付けの先生らしく、お葬式は沢山の花に囲まれて華やかに執り行われました。
式が終わった後も、連日の弔問客で常に仏壇は花でいっぱいでした
着付けの先生らしく、お葬式は沢山の花に囲まれて華やかに執り行われました。
式が終わった後も、連日の弔問客で常に仏壇は花でいっぱいでした。

121 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/20(金) 23:43:19 ID:NzwSnF7x0
2/2
やがて初七日が過ぎる頃。伯母は私の夢の中に出て来て言いました。
『仏壇のお花が枯れてるから、取り替えてちょうだい。』
目が覚めて母にその話をし、母も不思議がって、
『仏壇には新しいお花がいっぱいなのに…。今飾ってるお花が気に入らない
のかしらねぇ。』
などと言っていた正にその時、玄関のチャイムが鳴りました。
出てみると、沢山のお花を抱えた弔問の方が立っていました。

その方は伯母が着付けのために借りていた教室の近くのお花屋さんで、
『生前奥様に良く使って頂いたので…今日は奥様が好きだったお花をお供えに
参りました。』
とおっしゃるのです。
私と母は顔を見合わせてビックリ。その方が帰られると、慌てて仏壇のお花を
取り替えたのでした。

その後伯母は、姉の所にも行ったようです。
伯母が失くなった当時、まだ姉は妊娠中だったため、出産後に子供を見に行ったようで、

生まれたての赤ん坊を嬉しげに見守った後、姉が引き止めるのを断って、颯爽と帰って

行ったそうです。

その話を聞いて、失くなっても伯母ちゃんは私らを見守ってくれてるんだねぇ…と
姉も母も涙ぐんだものです。

なので、失くなってすぐに、2階の伯母の部屋で寝ていた時、階段の下の方から
血だらけになった伯母が四つん這いのまま私の名前を呼びながら這い上がって
来る夢を見てしまった事は黙っておきました。
自宅で倒れてそのままだったので、その時はまだ自分が失くなった事に気づいて
なかったのかな…と思います。
                                              【完】