第49話 武道場

著:高森雪 ◆1mT.SL.HtU  時刻:00:42:3

168 :高森雪 ◆1mT.SL.HtU :2010/08/21(土) 00:42:38 ID:+BYhHt2q0
【武道場】
 自分が昔通っていた中学校の担任の先生が語った話。(その中学校では怪談を全く聞いたことがなく,自分は珍しいと思った。)

 午後11時30分以降のこと。
 その中学校は,3棟に分かれていた。ある棟には,ピロティーと体育館と武道場があって,1階にはピロティーが,2階には体育館が,3階には武道場がある。
 先生が日直で,その棟の2階から3階までの階段を上っていると,武道場から,
ダダダダダ
と足音がした。その日(前日だったかもしれない),大掃除があったから,誰かが片付けをしていると思い,
「手伝いますよ。」
と武道場に向けて言った。
 すると,足音がピタリと止まった。
 先生は不審に思い,
「誰かいますか。」
と聞いたが,返事はなかった。
 怖くなって,急いで職員室へ帰った。さすがに一人で武道場を覗く勇気は無かったのだ。
 そして,別の先生と一緒に戻って武道場の中を見てみると,武道場には誰もいなかった。

 先生によると,武道場には「出る」らしい。
<了>