第66話 多分いいひと。

著:きしりっしゅ ◆Ux29IdM5BI  時刻:01:55:54

228 :きしりっしゅ ◆Ux29IdM5BI :2010/08/21(土) 01:55:54 ID:sZhrIUxy0
「多分いいひと。」


これもねーちゃんちの話。
ねーちゃんの娘、俺からみたら姪っ子。超可愛い。


その姪っ子がまだ1歳とか2歳とかの片言でしかしゃべれなかったくらいのちっささだった頃の夏。
ねーちゃんが姪っ子と昼ごはん食べてて、
子供とか見たことある人とかはわかると思うけど、
子供ってごはん食べる時すげー汚く汚したりするじゃん、遊びながら食べたり。
ねーちゃんも、ちゃんと食べなさいーとか言いながら姪っ子に食べさせたり自分も食べたり。
クーラー効かした部屋で、二人でだらだらごはんしてたそーだ。

で、あまりに遊びながら食べるのがひどかったんで、
よく見てたら姪っ子はキッチンの通気窓って言うのかな、ちょっと高めの所にある、
小さめの窓あるじゃん、そこのブラインドの方をにこにこしながら見てるんだって。

暑い日だったんだけどその窓はよく風が入ってるみたいで、
ブラインドが勢いよくあおられてカランカラン鳴ってる。
ああ、これが面白いんだな、と思ってねーちゃんが姪っ子に風が強いねえって感じで声を掛けたら、

「おっちゃん」

と姪っ子が笑顔でそのブラインドの方に手を振りながら、ほらお母さんも手を振って! みたいな顔してねーちゃんを見るんだって。
その間もブラインドはカランカラン揺れる。
…ねーちゃんは勇気を出して、ただの風だ、風で揺れてるだけだって自分に言いながら窓を閉めに行ったんだよ。

ブラインドの裏の窓、鍵までしっかり閉まってたって。


「完」