第4話 死神坊主

著:マン・コカスマ・ラミー ◆3Lv4KTTgPo  時刻:21:20:24

19 :マン・コカスマ・ラミー ◆3Lv4KTTgPo :2010/08/20(金) 21:20:24 ID:pt788zZQO
死神坊主

当時俺の住んでた地域は月に一人は必ず死んでいた。
老若男女問わず自殺が多い。次いで事故や火事。 葬式や法事なんて日常茶飯事で、坊さんが行列で町に来る事も珍しく無かった。
ある日俺が居間で昼寝をしていた時、坊さんの行列がいつも通り念仏を唱えながら俺の家の前を通り過ぎた。
しかし、その日は何故か一人の坊さんだけ俺の家の前に留まり念仏を唱え続ける。
いつもと違う光景を不思議に思い、夕方頃帰宅した母と兄に昼間の事を話した。

すると母は顔色を変え『坊さんの行列なんて、この町には一度も来た事が無いよ。』と言う。

納得のいかない俺は『本当だよ!嘘じゃないよ!』と、まくし立てた。

母は『嘘じゃないのは知ってるよ。でもアレは人じゃない。不吉な者なの。アンタにも見えてたのは知らなかった』と言った。
母の話しでは、どうやら坊さんの行列が現れた翌日に人が死ぬらしい。
すぐに近所に住むUさんに相談し、坊さんに念仏を唱えられた事を話しすと、すぐに神社でお祓いを受けられる様に手配をしてくれ、俺達家族三人はお祓いを受けた。

そして翌日、また死人が出た。
うちの家族は無事だったが、兄の様子がおかしくなり始めた。今まで霊的なことなど一切口にしなかった兄だが『死神が見える。振り向くと、今にも殺されそうだ』と、頻りに訴える様になった。

ある日、俺はまた坊さんの行列を見た。人じゃないと知ってしまってからは恐ろしい存在だ。
坊さんの行列は俺の家の前で留まり念仏を唱えた。居間で耳を塞ぎ凍りつく俺を無視し、一人の坊さんが庭に入り込み、他の者達よりも大声で念仏を唱えた。

その後の事はよく覚えてないが、またお祓いを受けたらしい。
翌日、兄は事故に遭った。半年間意識不明で生死の境を漂ったが、奇跡的に命だけは助かった。

お祓いを手配してくれたUさんは一家無理心中で死んでしまった。

あなたの見ている坊さんも、死神坊主かも知れません。呪いの念仏を聞かぬ様、お気をつけて。