第8話 走るモノ

著:秋鳥 ◆X0TyCi.5oo  時刻:21:52:32

28 :秋鳥 ◆X0TyCi.5oo :2010/08/20(金) 21:52:32 ID:L4HzYdD60
走るモノ

一昨年の夏ごろだったかな。
お隣のおじいさんが亡くなったんですよ。聞いた話だと病気で入院中だったらしいです。
密葬にするとかで、私の両親はお隣にご焼香に行くことあったんだけどさ、
父さんが寝ちゃって、8時を過ぎてしまったんです。
そろそろ起こそうか、と母さんが言ったとき…

とんとんとんとん。

階段を上がる音が聞こえたんです。思わずぎょっとして、階段のほうを見ましたが暗くて何も見えません。
その時点でもう気持ち悪くなった。だって、全員1階にいるんだもん。
気のせいかと思って母さんやお姉ちゃんを見ると、やはり聞こえたようで顔が本当に真っ青。
一応見に行こうと立ち上がりかけたときに、

どたどたどたどた!!

ちょうど真上のあたりで走り回る音が聞こえました。
走るというより暴れ回っているような大きな音でしたが、すぐに止みました。
母さんが慌てて父さんを起こしているあいだに、私は階段の電灯をつけて2階の部屋中を探し回りましたが、
誰も居らず、もちろん音の原因になりそうなものも一切ありませんでした。
結局、おじいさんが焼香に来ないから呼びに来た、と結論がつきました。

でもさ、未だに音が止んでないの。
たまに走り回ってるから部屋のドアを開けたら、
赤いマニキュアを塗った子供の足が隙間から見えた。
ちなみ今でも走ってる。
こういう蒸し暑い夜にね。

これで私の話は終わりです。
次の方、どうぞお願いします。