第37話 理科室の女性

著:CoCo壱 ◆Yuli/FSBAA  時刻:23:50:13

131 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/20(金) 23:50:13 ID:NzwSnF7x0
CoCo壱 ◆Yuli/FSBAA 様 代理投稿

【理科室の女性】<1/2>

これは、僕が小学生の2年生ぐらいの時から始まり、
そして数年のときを経てつい先日、朗読の練習をしていた時に体験したことです。
大して怖くはないのですが、それの発端はある授業中のことでした。

当時の僕は授業を聞かずとも、某進研ゼミの通信教育のおかげで、
テストも100点ばっかりだったこともあり、授業に対しての熱はかなり低いものでした。
その為、ノートに落書きなどばっかりしていたのです。

ふと僕は授業や落書きもよそに、廊下側の窓に目をやりました。
教室の中で、黒板をある方を前とするなら、廊下側は右。
前と後ろに入り口があるのですが、丁度僕のいる席はその入り口から廊下が見られる席でした。
でも、僕が視線を送ったのは廊下ではなく、廊下の窓の向こう側の景色でした。

もちろん小学生なので、席に座っていると視線が低く、窓からは空しか見えません。
ですが、
「問題が解けたら先生のところに来るように」
ということで立ち上がって先生に採点を貰いにいくことがありました。
その時は、立ち上がっているのでチラッと廊下側の窓を見れば座ってる時より見れる範囲が広がります。

そしてそれを見たのです。

理科室と家庭科室は校舎とは別の場所にあり、二階が家庭科室だったでしょうか。
その入り口前に、女性が立っていました。
小柄で黒い髪の女性がこっちをじっと見ているのが見えました。
僕は何故かそれが凄く気になってじっと見ていました。

133 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/20(金) 23:51:11 ID:NzwSnF7x0
<2/2>

算数の授業中なので、先生による採点というのが度々授業中にあり、その都度ちらっと見るとそこに女性がいました。

今なら不審に見えるのでしょうけど、
僕の居た小学校は保護者会というものがあって保護者が出入りしたりすることがよくあるので、
僕はそこに居ることを不思議に思ったことはありませんでした。

授業が終わって廊下に出てサッと窓の外を見るとそこにはまだおり、女性がじっと見ていました。
よく見ると、女性の目元が凄く曖昧でまるで眼窩が空いているように見えました。
しかし、しっかりと瞳があるようにも見える。まさに曖昧模糊だったんです。

そして、それからしばらくした夜でしょうか。和室で寝ていると、ふと夜中に目が覚めました。
体は動きません。
チラッと視線をずらすと、そこにはなにやら女性の足が見えるのです。
視線を上にあげると女性がこっちを見下ろしてるのがわかります。ただ、顔は暗くてわかりませんでした。
でも、怖いとは思わなくて、僕はまた普通に寝てしまいました。

それから数年たった、現在のことです。
僕が朗読の練習で2006年度の百物語を読んでいたときでした。
リスナー様の中のお一人がふと「女性が見える」と言い出したのです。
その女性の特徴は、ずばり小学生の時に見た女性と特徴が合致しており、
その方は「その人です」とおっしゃっておりました。

今でも、僕の近くにいるのでしょうか。

その人いわく「とてもやさしい方」との事なので、怖くはないですけど。

【完】