第40話 腑に落ちない偶然

著:歩兵 ◆T4kE1oY42E  時刻:23:57:53

139 :歩兵 ◆T4kE1oY42E :2010/08/20(金) 23:57:53 ID:N80vX2uc0
『腑に落ちない偶然』(1)

実話なので大したオチも盛り上がりもありませんが、ご了承ください
5年ほど前のことなのですが、夜中に寝ていると突然
「ダァーン!!」と大きな音がして目が覚めました
それはもう思わず飛び起きるくらいの音でした
すぐに部屋の電気をつけて、何事かとあたりを見回してみると
本棚の下に本が転がっていました
「ああ、これが落ちたんだなぁ、びっくりさせやがって・・」と、とりあえずその本を本棚に収めたのですが
ふと、思ったのです
落ちるわけがないだろう、と
本棚には本がギッシリと隙間なく詰まっていたはずだから
その証拠に、たったいま、その落ちた本を収めた時も
ギュっと押しこむようにして、他の本との隙間に詰め込んだのです
しかも重いんです、その本(だいたい一般的な国語辞書と同じくらいのサイズ)
これが自然に落ちるってことはあるのか?
そう考え出すとなんだか怖くなって、その後は情けない話ですが電気をつけたまま寝ました



140 :歩兵 ◆T4kE1oY42E :2010/08/20(金) 23:58:53 ID:N80vX2uc0
腑に落ちない偶然(2)

あくる日、昨夜の事も忘れて、いつものように会社で仕事をしていました
すると、確か午前11時頃だったと記憶していますが「グワン」と床がいきなり大きく揺れたのです
社内はちょっとしたパニックになりました、地震が起きたのです
記憶している方もいらっしゃいますでしょうか
後に「福岡西方沖地震」と名付けられた大地震でした

会社内の落下物の片付けや交通機関の乱れもあり、その日の帰宅はいつもよりかなり遅くなりました
自宅に帰ると母親が心配した様子で出迎えてくれました(当時は実家在住)
「あんた大丈夫やったね?携帯もつながらんし心配したわぁ」
「すごい揺れたよ、携帯はダメやったね、俺もかけたけど全然繋がらんかった」
「そうねぇ・・こっちは博多ほどは揺れんかったらしいけど、それでもびっくりしたわぁ」
「なんか家の中で壊れた物とかあったと?」
「特には無かったねぇ、テーブルに置いてたコップが1個割れたくらいやねぇ」
このような会話をかわしながら遅い夕食を済ませ、自室に引き上げました
部屋の電気をつけると、出かける前と特に変わりもないようです
ソファーに腰をかけビールなどを飲みながらニュースを眺めていました
「ん?」
テレビの横の床に何がが落ちているのに気が付きました

本棚に目をやると、無い

床に落ちている、それを手に取ると
「巷説(こうせつ)百物語」
昨夜落ちてきた本でした