第48話 大阪のホテル

著:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg  時刻:00:38:47

165 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/21(土) 00:38:47 ID:9FhPPqS70
4コ卵◆hcYOhjUtjg 様 代理投稿

【大阪のホテル】 1/2

とあるバンドの大阪でのライブを見るために、友人と大阪のホテルに宿泊した時の事です。
部屋に入って窓の外を見ると、眼下にお寺とお墓が見えました。
『うわー、凄い眺めだね〜(笑)』
かなり大きなお寺だったので、ライブまで少し時間があったため、私達は観光のつもりで
そのお寺に寄ってみることに。

その日の夜、ホテルに帰って寝ていると、ちょっと嫌な夢を見ました。
隣の部屋に宿泊している中年の男女が、私達の部屋のドアを激しくノックし、
おばさんの方が『主人が急に具合が悪くなったので、部屋の電話を使わせて!』
と叫んでいます。
ドアスコープでそっと穴から覗いて見ると、厚化粧で小太りのおばさんと
同じくこぶとりのおじさんが並んで立っているのが見えました。
おじさんは特に具合が悪そうには見えません。
ドアをほんの少しあけたところ、強引に入って来ようとするので、慌てて阻止しながら、
『どうして自分の部屋の電話を使わないんですか?』と聞くと、『ちっ。』という
感じでドアをひっぱるのを諦め、『やっぱりダメだったわ。』と悔しそうに言うのが
聞こえました。
そこで急に、本当に具合が悪かったらどうしよう…と心配になり、うっかりドアを
開けてしまいました。
そこでふっと目が覚めたのですが、その瞬間から金縛りに。
ベッドの中で焦っていると、ふいに隣の友人が眠っているはずのベッドのあたりで
『チャリン…チャリン…』
と、金属が触れ合うような、お金でも数えているような音がするのです。
恐ろしくてたまらなくなり、必死でもがいていると、ふいに耳元で
『良かった。助かった。』
という男の人の声が。

166 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/21(土) 00:39:30 ID:9FhPPqS70
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その途端、金縛りが解けて、私はがばっとベッドの上に起き上がりました。
音のしていた方を見ると、寝ていたはずの友達がパチパチと瞬きしていました。
てっきり私がうなされていたのかと思って、そう聞いたのですが、特に理由も
なくその瞬間目が覚めたとの事。
ちなみに彼女の職業は占い師。何かの気配を感じとってくれたのかと思いましたが、
その夜は怖くて、何も話す事が出来ませんでした。

次の日、私は別の友人の結婚式に出席する予定でした。
自宅に戻る時間がなかったため、大阪のホテルからちょくせつ博多の結婚式場へ
飛ぶ事に。
花嫁以外に知り合いが一人もいない式だったので、披露宴が始まるまでの時間を
持て余し、トイレで身繕いに専念していました。
途中、トイレを訪れる人が何度か入れ替わり、気がつくと一人に。
鏡を覗きながら化粧直しをしていると、鏡越しに背後のトイレの個室から、
すーっと…上から下に流れるように、女性の白く細い腕が現れて消えるのが
見えました。
てっきり自分一人だと思っていたのに、誰かいたのか…と思った次の瞬間、
どやどやと3人のおばちゃん達が入って来ました。
そして『あぁ、空いてるわ〜。』といいながら、今しがた腕が現れて消えた
個室に、その中の一人が入って行ったのです。
ええっ!?と思い、個室の方を確認に行きましたが、おばちゃん達の他に、
個室に入っている人はいませんでした。
ではさっき私が見たあの腕はいったい誰のもの…?

家に帰りついてすぐ、『塩持って来て!』と叫ぶ私。
結婚式帰りなのに、なんで塩??と家族に不思議がられましたが、そのお陰か、
その後特に不思議な事はおこりませんでした。

しかし後日聞いた話では、その宿泊した大阪のホテルは、有名な『出る』ホテル
だったそうです。
                                           【完】