第52話 跡地

著:蝉 ◆8sSemi/UG.  時刻:00:53:31

180 :蝉 ◆8sSemi/UG. :2010/08/21(土) 00:53:31 ID:mf6x++sh0
跡地
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いわゆる霊感があるというのは自己申告によるものだが、この真贋の判定がなかなか難しい。
本当に見える人も居ればただの自意識過剰の構ってちゃんの場合もあるし、自覚症状はないが実は感じている人も居る。
このご時勢、自分から霊感があるなどと吹聴しないという人も多い。
その霊感のあるなしを見分けたいときに私が利用している一軒の喫茶店がある。

その喫茶店のある場所は入れ替わりが激しく、その前は飲食店だったしその前は駐在所だった。
そして、その元凶と思われる過去は「処刑場」である。
地元では有名な場所で、駐在所があったときは土地の者・知っている者は頑なに配属を拒んだと言う。
そして何も知らない警察官の一家が越して来たが、原因不明の病気で一家全員が体調を崩した。
その体調を崩したと言うのも生易しいものではなく、とてもではないが仕事など出来ないほどにまで悪化したそうだ。



182 :蝉 ◆8sSemi/UG. :2010/08/21(土) 00:54:48 ID:mf6x++sh0
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それが一度ではなかったのか、駐在所は移転し、その場所は競売にでもかけられたのだろう。
その後何度か店が出ていたようだがどこも長続きしなかった。

その喫茶店に行くと霊感のある人は、まず間違いなく入店する段階で嫌がる。
本当に見える人だと過去に何があったかまで当ててくれる。
それだけ確実ないわくつきの土地なのだ。
きっと今ある喫茶店が、店が長く持った記録を現在進行形で更新している最中だと思う。
そのいわくつきの土地でそこそこ長く喫茶店をやっていられる主人も、何かしら力のある人なのだろうともっぱらの噂である。