第53話 たらいまわし

著:きしりっしゅ ◆Ux29IdM5BI  時刻:00:57:43

184 :きしりっしゅ ◆Ux29IdM5BI :2010/08/21(土) 00:57:43 ID:sZhrIUxy0
「たらいまわし」1/2



俺のねーちゃんの話。

結婚してもう実家でてるねーちゃんは、恐がりのくせにオカルトとか怪談とか都市伝説とかすごい好きなんだよ。
で、いつも旦那と一緒に寝る時間にだけ、ケータイからオカ板とかまとめとか見てるんだって。怖いから。


けど旦那が月一くらいで出張よく行く人で、その日も一泊の出張に旦那が行ってることすっかり忘れて、
ねーちゃん布団の中で洒落怖読んじゃって、なんで読んじゃったんだろうって後悔しながら電気消して寝ようとしたらしい。

そしたら、真っ暗な部屋で、ぴし、ぴし、とか、みし、ぎし、って何かが動く音がするんだって。
昼間ならただの家鳴りだろうですむんだろうけど、怖い話読んだばかりだし、まっくらだし、
ねーちゃん怖くて布団の中で目つぶったまま、

「もうわかんないんでオバケだったら旦那くんの所に行ってください、あっちに行ってください」

ってお祈りしてたんだってw 旦那何も関係ないのにねーちゃんヒデエw

185 :きしりっしゅ ◆Ux29IdM5BI :2010/08/21(土) 00:59:57 ID:sZhrIUxy0
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そんで次の日旦那が出張から帰ってきて、俺幽霊見たかも、って。
ねーちゃんがびっくりして聞いてみたら、旦那が出張先のホテルで寝てる時に、
誰かがドアの方から来る気配がしたんだそうな。
えって思う間に、ベッドの足下の方に黒い影がやってきた。
でも旦那も大きい取引の後だから疲れて頭ぼーっとしてるし、
零感だから幽霊とか信じてないし、
何でか一緒に出張に行ってた同僚だと思ったらしくて、
「疲れてるからさー、用事なら朝にしてくれないか?」
って言ったんだよ。そしたらちょっと間があって、

「…こっちに行けって言うから来たのに…」

ってすっごい不満そうな声がして、しばらくして黒い影も気配もなくなって、旦那もやれやれってそのまま爆睡。


もちろん次の朝同僚に聞いたら、同僚も爆睡しててお前の部屋なんか行ってないって言われたし、
もしかしたら幽霊だったんじゃないかーって話になったそーだ。
ねーちゃんから昨日の晩自宅の方であった話を聞くと、そいつが来たのかなって二人で納得したらしい。
しかし幽霊も迷惑だったろうな。話聞いてくれるんだと思ってわざわざ遠くまで行ったのに、素っ気ない扱いを受けて…。


それからねーちゃんも旦那も二人とも、同じような体験はもうしてないってさ。
もしかしたら二人が気が付いてないだけかもしれないけどw


「完」