著:風呂桶 ◆qYBNfwv7BU 時刻:03:09:04
- 277 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/21(土) 03:09:04 ID:9FhPPqS70
- 風呂桶 ◆qYBNfwv7BU 様 代理投稿
『百物語のビデオ』 1/2
友達が霊感があるという先輩から聞いた話。
先輩をRさんとしておく。
Rさんはある夏、友人たちと百物語を開いたそうだ。
蝋燭を灯すとか結構雰囲気は出ていたらしい。
しかもただ喋るだけではつまらないと、その様子をビデオに撮ることにした。
語りは順調に進んでいった。
ビデオも心霊番組のように調子が悪くなるなんてことはなかった。
本当に何事もなく百話目が終了してしまったのか……とRさんたちは少しがっかりした。
そこで、疲れよりも悔しさの勝ったメンバーの一人が言った。
「明日、撮ったビデオ……確かめてみないか?」
提案に乗って、翌日Rさんたちは自分たちの撮ったビデオを見てみることにしたのだという。 - 278 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/21(土) 03:09:20 ID:9FhPPqS70
- 2/2
一人目、二人目とやはり怪現象の一つもなく進んでいくビデオ。
昨日と同じことを繰り返している。
Rさんとその友人たちは段々と白けた気分になってきていた。
しかし、Rさんの語りが始まってしばらくして、白けた空気が一瞬にして凍りついた。
「おい、あれ……」
「足だよな……」
ビデオを映しているテレビの画面の真ん中にはRさん、Rさんの前には蝋燭。
そしてRさんの右上には、人間の足が映っている。
よく見ると、白いスカートの女の足であることが分かった。
画面上側から生えたかのように見える二本足で、ゆっくりと空中を歩き回っている。
もちろんその時Rさんの後ろには誰もいなかったし、足のようなものをぶら下げていたわけでもない。
足はRさんが語り終えると共にすうっと消えた。
見ていた皆は固まっていたが、足が消えた途端ビデオを早送りして全て確認した。
だが、画面が次の人に変わって百物語が終わっても、足はとうとう現れなかった。
そのビデオの行方を、話を聞いた友達に訪ねてみたところ、まだRさんが持っているのだそうだ……。
【完】
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