第83話 無題

著:うるふぃ◆urufi/Tr1A  時刻:03:19:26

283 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/21(土) 03:19:26 ID:9FhPPqS70
うるふぃ◆urufi/Tr1A 様 代理投稿

【無題】 1/2

先日の事。
友達が少し遠くへと遊びに出かけた時のこと。
その日は急遽とりきめて出かけた所為でタイミングが悪かったのか準備不足か
見に行きたかったお店は探せず名物であった食事もお店がお休みで食べることが出来ず

少し早いけれど、と家路につくことにしたらしい。

しばらくしてから車でラジオを聞くと、大きな地震が海外であったらしく海沿いの道は全面通行禁止。
それは先ほど通った道も含まれていて、早く帰れていなければきっと渋滞に巻き込まれていたとのことだった。

「よかったね、ラッキーだったね」と私が笑うと
「それがね・・・。」と友達は言いにくそうに話をつづけた。

284 :代理投稿 ◆100mD2jqic :2010/08/21(土) 03:19:49 ID:9FhPPqS70
2/2

彼女は良い事があると毎週の墓参りや実家の管理とは別で既に亡くなった両親へと報告へ行く習慣がある。
もちろん次の日、彼女はやはり報告に行ったそうだ。
そして実家の中にはいって仰天したらしい。
先週実家に立ち寄ったときは扉を閉めて帰ったはずなのに仏壇の扉があいていて位牌だけが畳に落ちていた、との事だった。

「単なる偶然ならいいのだけど、もしかしたら死んだお父さんとお母さんが早く帰してくれたのかなって。」

彼女は語りながらなんとなく同意を求めるような目で私を見た。

【完】