第93話 電話を取る人

著:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg  時刻:03:55:34

309 :4コ卵 ◆hcYOhjUtjg :2010/08/21(土) 03:55:34 ID:3tQ2vwvM0
「電話を取る人」1/2

うちの会社はみんな結構個人でマイペースで仕事をするため、休日や深夜に社内に一人きり…という事がよくあります。
そのためか、社内であまり怪談めいた話はしないという暗黙のルールがあります。

しかし黙っていても怪異はやって来るもので、1Fの倉庫に知らない女性が立っていたとか、一人の時にトイレに
入ってると誰かがトイレのすぐ外を歩いていたとか、ちょいちょい色んな事がおこります。
ある時など入り口の外の観葉植物の後ろ、人が立てないくらいの隙間に女の子が立ってるのが見える!と騒ぎに
なった事がありました。
2F踊り場の窓から見えたと女子2人が騒いでいるのですが、他の社員には見えません。
そんなはずないと2人が玄関まで確かめに降りたのですが、かき消すようにいなくなったそうです。
2F踊り場から1Fに降りるまで2〜3秒。
再び2Fの踊り場に戻って窓から見下ろしましたが、もう誰も立っていなかったそうです。

310 :4コ卵 ◆hcYOhjUtjg :2010/08/21(土) 03:57:02 ID:3tQ2vwvM0
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そんなある日。
真夜中になり、社内に残っているのは、3Fに3人だけ、私と経理とSEの女性のみになりました。
そろそろ帰ろうかということになり、それぞれ食器の片付けや各部屋の戸締まりをしていました。
その時ふいに業務用の外線電話が鳴り、誰かが電話を取ったようでした。
ところがデスクに戻ると、他の2人がきょとんとしています。
誰も電話を取った者がいなかったのです。

私達の他に誰か残っているのかと確認してみましたが、1Fも2Fも真っ暗、ドアには外から鍵がかけられています。
5分程通話中が続いて、電話は切れました。
ふっと見ると、3Fの応接コーナーの電話機の受話器が上がっているのです。

そんな事が決まって女子数人で残っている時におこりました。
夜遅くに突然電話が鳴り、私達が出る暇もなく通話中に。そして、必ずどこかの電話の受話器が上がっているのです。
「私達が忙しいから、かわりに電話とってくれてるのかもー。」
怖いので、私達はそう言って笑い飛ばしていました。

でも、本当に怖いのは、労働基準など全く無視の、うちの会社の方がもしれませんが…。

「おわり」